「AirPods Pro」がノイズキャンセリングに対応して出てきたことにより世間がノイズキャンセリングイヤホンで盛り上がっている中、空気を読まずにノイズキャンセリングヘッドホンの比較をしたいと思います。
理由は単純に自分が欲しくなって調べたので!
実際に触ったり視聴したりはできてないので、HP上の情報からわかることや様々なレビューを見て回って感じた傾向になります。
製品毎の特徴
今回比較するにあたって選択肢としてベターなものに絞った結果、4製品になりました。最初に比較する製品を一覧表で出しておきます。
メーカー | 商品名 | 発売日 | 重量 | 電池持続時間 | クイック充電 | Bluetooth方式 | 対応コーデック | 操作方法 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SONY | WH-1000XM3 | 2018年10月6日 | 255 g | 30時間 | 10分充電で5時間 | Bluetooth 4.2 | SBC, AAC, aptX, aptX HD, LDAC | タッチセンサー |
BOSE | QuietComfort 35 wireless headphones II | 2017年11月27日 | 234 g | 20時間 | 15分充電で2.5時間 | Bluetooth 4.1 | SBC , AAC(非公表) | 物理ボタン |
BOSE | Noise Cancelling Headphones 700 | 2019年9月12日 | 250 g | 20時間 | 15分充電で3.5時間 | Bluetooth 5.0 | SBC , AAC(非公表) | タッチセンサー |
SENNHEISER | MOMENTUM Wireless | 2019年9月30日 | 305 g | 17時間 | 10分充電で1.5時間 | Bluetooth 5.0 | SBC , AAC , aptX , aptX LL | 物理ボタン |
電池持続時間はノイズキャンセリングON時の連続再生時間です。
SONY WH-1000XM3
2016年発売の初代「MDR-1000X」2017年発売の2代目「WH-1000XM2」に次ぐ2018年に発売した3代目です。
良い点: ノイズキャンセリング性能や総合力
ノイズキャンセリング性能の強力さは現状出ている製品の中でもナンバーワンと言っていいでしょう。
他にも
- 充電が30時間も持つ
- 専用アプリ「Headphones Connect」による細かい設定が可能
- 対応コーデックが豊富
など、機能性でみたときに一番隙が少なく、総合的に優れています。
気になる点: マルチポイントの仕様
マルチポイント自体はあるのですが、音楽再生機器(A2DPプロファイル)と通話機器(HFPまたはHSPプロファイル)それぞれ1台ずつへの同時接続にしか対応していません。
そのため、例えばスマートフォンに接続して再生している状態でタブレットに切り替えたいとなった場合、スマートフォン側で接続を切った後タブレット側で接続する手間が必要になります。
BOSEの場合はA2DPのマルチに対応しているので、2台に接続しておいて片方で再生を止め、もう片方で再生を開始するとそのまま再生するみたいな動作が可能です。
ノイズキャンセリングON時の音質が若干不自然に低音を盛ってる傾向にあるという意見をちらほら見かけるので、そこもちょっと気になる部分です。
とはいえ実際聴いてみないとわからない部分ですし、アプリのイコライザーで割と細かく調整ができるのである程度対応可能でしょう。
BOSE QuietComfort 35 wireless headphones II
2017年に発売した製品で、通称「QC35 II」です。
ちなみに本機は2016年に発売していた「QC35」の後継機ですが、主な違いは以下の通り。
- Amazon Alexa・Googleアシスタントの使用やノイズキャンセリングレベルを3段階で切り替えることができる「アクションボタン」が追加された
- 急速充電に対応(クイックチャージ機能: 15分の充電で約2.5時間使用可能)
ノイズキャンセリングの性能や音質面・基本的な外見や装着感・使用可能時間等の違いはないため、安くなっている「QC35」を買うのも選択肢としては充分あり。
良い点: 装着感と携帯性
特筆すべきは装着感の良さ。イヤーパッドが柔らかく側圧が弱めで本体も軽いという特徴があり、レビューや比較記事を見ているとほぼ満場一致で「QC35 II」が装着感No1という評価になっています。
音質はそこそこという感じみたいですが、音作りはフラットで聴き疲れしない傾向みたいなので、作業時に長時間着用するものとしてはベストな選択肢かもしれません。
折りたたんだ状態が今回比較している中で一番コンパクトなので携帯性にも優れています。
気になる点: 外音取り込み機能とノイズキャンセリング性能
ノイズキャンセリングのレベルは3段界(High / Low / オフ)から選べるようになっていますが、外音取り込み機能はないようです。
肝心のノイズキャンセリング性能はSONYの初代「MDR-1000X」と同等、もしくは若干劣るという評価が多いような気がします。
BOSE Noise Cancelling Headphones 700
2019年9月12日に発売したBOSEの最新ノイズキャンセリングヘッドホン。「NCH700」と呼ばれていることが多いです。
ノイズキャンセルは0~10の11段階から選択することができるようになっており、レベルを下げるに従って外音を取り込むようになります。
良い点: 通話品質
今機種で採用されたアダプティブマイクシステムにより、他の機種に比べて通話品質がかなり良いようです。
ちなみにアダプティブマイクシステムとは「4マイクシステムの搭載によりユーザーの声と周囲のノイズを分離し、ノイズをキャンセルする機能」となっており、通話時に周りの雑音を低減しながら自分の声だけをクリアに伝えることができるというもの。
ノイズキャンセリングヘッドホンをした状態で頻繁に通話をするという人にとってはベストな選択肢と言えそうです。
気になる点: 携帯性や装着感
今回比較しているヘッドホンの中で唯一折りたたみ機構がありません。イヤーカップを回転してフラットにすることはできますが、収納時は若干かさばりそう。
イヤーパッドは「QC35 II」に比べてやや硬めの質感になっており、側圧も「QC35 II」に比べると強くなっているという意見が多く見られます。装着感が特別悪いということはなさそうですが、「QC35 II」のような装着感ではなくなってしまっているようです。
SENNHEISER MOMENTUM Wireless
2012年から出ているMOMENTUMシリーズの第3世代です。
良い点: 音質
特徴はなんといっても音質で、今回紹介している中では一番音楽を楽しむためのヘッドホンという印象があります。
ノイズキャンセリングの強さはSONYやBOSEに比べて劣るものの、その分ノイズキャンセリング特有の違和感や聴いている音楽に対しての影響が少なく、ノイズキャンセリングを使いながら音質を保つことに関しては頭一つ抜けてるというレビューが多く見られます。
気になる点: 電源ON/OFFの仕様、重さと大きさ
「MOMENTUM Wireless」には電源ボタンがありません。イヤーカップの開閉に連動しており、開くと電源ON時、閉じると電源OFFという動作になっています。
良く言えば「余計な操作なくすぐに使える」仕様ですが、逆に言うと汎用性に欠けて困る部分もあるかなという印象。例えば自分はよくヘッドホンを広げた状態でヘッドホンスタンドに掛けておいたりしますが、折りたたんだ状態でないと電源がOFFにならないためそのような使い方はできないことになります。
約305gという重さは今回比較している中だと一番重いので少し気になるところ。側圧も若干強めという情報を見かけるので、長時間の装着は疲れてきそうだなという懸念点があります。
しかし、イヤーパッドが分厚く柔らかい素材になっているため、そこでカバーできている可能性もあります。ちなみにイヤーパッドの外装はシープスキンという本革になっています。
それと付属のキャリングケースを見る感じ、あまり携帯性は高くなさそう。NCH700の平面的で面積が広いという傾向とはまた別で、折りたたみ時に縦方向の厚みがでてしまう感じです。
調べていると付属ケース自体がそもそも大きめで保護力的にもちょっと心配かなという作りなので、別途ちょうどいいサイズのセミハードケースみたいなものを用意できたらいいかもしれません。
選択基準
ノイズキャンセリング性能や音質、充電持ちなどが1番最初にわかりやすく注目される部分かと思いますが、他にも選択基準として個人的に大事だなと思う部分や、機能毎に比較したほうが分かりやすそうな部分を見ていきたいと思います。
外音取り込み機能
ノイズキャンセリングが強力であればあるほど、真逆にあたる外音取り込み機能も大事になってきます。
外音取り込み機能には
- 音楽を再生しながら周囲の音も聞ける再生モード
- 再生中の音楽を一時停止もしくは音量を下げて周囲の音のみにフォーカスする機能
の主に2パータンあります。前者は常時周囲の音に気を使う必要がある状況(外で使う場合やアナウンス等が聞こえないと困る場合)で使用し、後者は一時的な会話(店舗での注文時や人に話しかけられた場合)が発生した際に役立ちます。
製品ごとの外音取り込み機能一覧表
メーカー | 商品名 | 外音取り込み 再生モード |
外音取り込み クイックアクセス |
---|---|---|---|
SONY | WH-1000XM3 | あり (アンビエントサウンドモード) |
ON: タッチセンサーコントロールパネル全体を手で触れたままにする OFF: タッチセンサーコントロールパネルから手を離す |
BOSE | QuietComfort 35 wireless headphones II |
なし | なし |
BOSE | Noise Cancelling Headphones 700 |
あり (NCレベルを下げていくことによって 外音の取り込みレベルが変わる) |
ON: ノイズコントロールボタンを1秒間長押しする OFF: 何かボタンを押すか、タッチセンサーをタップする |
SENNHEISER | MOMENTUM Wireless | あり | ON: ANCスイッチを下にスライドして離す OFF: もう一度ANCスイッチを下にスライドして離す |
一番簡易的かつ感覚的にクイックアクセスできるのは「WH-1000XM3」ですが、右側を片手で触れたままにしなければならないので困る場面もあるかもしれません。
反対に「NCH700」と「MOMENTUM Wireless」は少しだけ手間が増えますが、その分汎用性が高そうです。
「QC35 II」は残念ながら未対応。
対応コーデック
コーデックはわかりにくい部分と思うので個別に見ていきます。製品ごとの対応状況は上の表に入れてます。
そもそもコーデックとは
そもそもコーデックとはなんぞやという話ですが、A2DPという音声データの伝送に必要なカプセリング化方式を規定したBluetoothプロファイルを使用する機器において使われる、音声を圧縮するための方式です。
わかりにくいとは思いますが、とりあえず音質と遅延に関わってくるものと思ってもらえば間違いありません。
コーデック | サンプリング周波数 / 量子化ビット数 |
遅延 | 備考 |
---|---|---|---|
SBC | 48kHz/16bit | 220ms (±50ms) | A2DPの規定で必ず実装されているもの |
AAC | 48kHz/16bit | 非公表 | 主にiOS端末で採用されている |
aptX | 48kHz/16bit | 70ms (±10ms) | 主にAndroid端末で採用されている Windows 10 でも標準採用されている |
aptX LL | 48kHz/16bit | 40ms 前後 | aptXを低遅延化したもの |
aptX HD | 48KHz/24bit | 150ms 前後 | aptXをハイレゾ対応したもの |
LDAC | 96kHz/24bit | 非公表 | SONY開発のハイレゾ対応コーデック |
自分が使用する機器によってどれを選ぶべきか変わる
コーデックは送信側(接続端末)と受信側(ワイヤレス製品)の両方が対応している必要があります。
例えば、iOS端末はSBCとAACにしか対応していないので、今回比較している中ではどの製品を選んでも変わりありません。
Android端末の場合はOSのバージョンや製品によって対応状況がまちまちなので一概に言えないので、自分が使っている機器名で調べてみてください。
PCに接続して使用する場合はaptXに対応したものを選んだほうがいいでしょう。
結局どれを選べばいいのか
各製品を見てきた感じ、かなり長所が分散していて比較的選びやすい気がしますね。
- NC性能: SONY WH-1000XM3
- 装着感: BOSE QuietComfort 35 wireless headphones II
- 通話性能: BOSE Noise Cancelling Headphones 700
- 音質: SENNHEISER MOMENTUM Wireless
という感じでしょうか。
もし悩んで決めきれなかったり、逆にあまり細かくこだわらない場合、欠点が少なく総合的に使い勝手の良い「WH-1000XM3」にしておくのが一番無難かなと思います。
まとめ
比較した結果、とりあえず「WH-1000XM3」を買うことにしましたが、正直「MOMENTUM Wireless」と次点で「QC35 II」も欲しくなってます。「NCH700」だけはちょっと中途半端感があるので微妙。
「WH-1000XM3」に関してはまた個別にレビュー記事を書きたいと思います。
追記: 書きました
コメント